「ベトナムのカフェはとてもアナログ。口に運ぶまで時間がかかるものまた贅沢な過ごし方」
(カフェ&スイーツ担当:伊藤忍さん)


今からもう15年以上も前の話になりますが、ベトナムに初めて訪れたときのこと。ホーチミンの街のあちらこちらで、プラスチックの低い椅子に座ってコーヒーを飲んでいる人たちをしばしば目撃しました。みんな自分の家の前でくつろいでいるのかと思いきや、実は路上のカフェだったのです。もちろん、日本と同じように室内のカフェもありますが、ただ道端にテーブルと椅子を並べただけのベトナム風の簡易カフェに、これだけで人がくつろげる空間になるのだなぁ~と、感激してしまいました。なじみのカフェにふらりと立ち寄る人、たまたまバイクで通りかかってひと休みする人……、そんな気軽にくつろげる空間にとても惹かれました。
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そして、さらに私の心を掴んだのは、その時間の過ごし方です。ベトナムのカフェで飲むドリンクは、アルミのフィルターで淹れるコーヒーや手絞りのライムジュースなどアナログなものが多く、口に運ぶまで時間がかかります。日本ではファーストフード的なカフェで、ササッとコーヒー飲むことに慣れてしまっている私には、チープな作りのフィルターからじれったいほどにぽたりぽたりと落ちていくコーヒーを待つ時間がとても新鮮に感じられました。先を急がず、ゆっくりくつろげるベトナムの路上カフェは、ある意味とても贅沢なカフェなのです。
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路上カフェと同様、ベトナムで楽しめるのが路上スイーツです。簡易的な店を構えるところから、天秤棒を担いで売りに来る人まで、そのスタイルは実にさまざま。ベトナムのスイーツにはいろいろなタイプのものがあります。伝統的な甘味物の「チェー(ベトナム風ぜんざい)」や、フランスから伝わった「バイン・フラン(ベトナム風プリン)、牛乳の代わりにココナッツミルクやコンデンスミルクを使って作ったケーキ、餅米で作ったお菓子など、どこかで食べたことがありそうなのに、何だか新しく思えるところが、ベトナムスイーツの魅力です。
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蚤の市では、古民家の片隅で低い椅子を並べてお待ちしています。ベトナムカフェのアナログな魅力、ゆるりとした時間の流れを楽しんでいただけたらと思います。