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梅ごはんプレートをはじめ、梅茶碗蒸し、いわしの梅番茶煮、手羽の梅紅茶煮などの一品料理、梅シロップ、シソジュース、梅の果実漬けソーダ割、梅酒などのドリンクや梅のコンポートなどなど、とことん梅にこだわっています。

イシワタリの庭で採れた梅は、梅醤油と梅サワーで登場します!



★★★★★★★ 梅ごはんの2日間 白ねこ亭 ★★★★★★★ 

【日時】 1026日(土)〜27日(日)12:0016:00
【場所】 古民家スタジオ・イシワタリ1
【企画】 白ねこ亭(真木・日高)

10月26日(土)・27日(日)、
イシワタリに2日間限定の梅のお食事処がオープンします。
食堂を切り盛りするのは、真木隆さん&むつみさんのご夫婦。
お食事、お飲み物、デザートに至るまで、すべてに梅を取り入れた、
梅に対するこだわり。
真木さんにその熱い思いを語っていただきました。




 東京の暮らしにひと区切りをつけ、鎌倉に引っ越してきて10年以上になります。かつては遠足の目的地やデート先だった鎌倉も、遊びに行くのと住んでみるのとではえらい違い。地元となってみると、いろいろ見えてくるものもあります。よくいえばまだ自然が残り、人の気持ちがよい海辺の古都。悪くいえば東京近郊の田舎…。しかし、この鎌倉には大きな魅力がありました。それは、何か一緒にやってみようという人が実に多いことです。
 

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 私は釣りやキャンプ、自然観察など、いわゆるアウトドアの出版物の編集をなりわいにしています。その私にとって、鎌倉の色濃い自然が残る谷戸(やと・谷の奥のこと)に一戸建ての借家を借りたことは大きな事件でした。早速、ここでこそできる本をと考え、4冊の本をつくりました。『ポケット図鑑・山菜』、『週末田舎暮らし術』、『週末木工術』、『ハーブ・スパイスの事典』…。いずれも手づくりがテーマで鎌倉というバックボーンあってのものですが、それに欠かせないのが鎌倉に来て知り合った友人たちの協力でした。これは東京にはない地縁での結びつき、「結い」とでも呼べるものでしょうか。
 
 本づくりをきっかけに、世代にかかわらず何か一緒にやろう、遊ぼう…という気概の仲間たちが集まり、期間限定の漬物店や梅干し展を開き、最近はカミさん中心ですが、味噌づくりの会も毎年開かれるようになりました。そして、集まれば必ず飲む…ということで、いつの間にか飲み会の和も広がっています。
 そんな中で耳にしたのが、古民家スタジオ・イシワタリさんの話。鎌倉の古民家らしい空間でいろいろなイベントが開かれていると聞き、梅を素材とした料理のイベントができないかと考えたわけです。幸いなことに、今年は梅の実りがよい年となり、久しぶりに100kgの梅を漬けました。
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梅干しとの出会い
 梅干しを漬け始めて15年。きっかけは漬け物やジャム、ソースなどの手づくりの保存食に興味をもったことでした。特に日本の山間部で採取・保存されている「山菜」に興味をもち、たくさんの山村を歩き回りました。
 
 その中で知ったのが、いかに多くの日本人が梅干しを好んで食べ、手づくりしているかということです。
そして、東北の海辺でも、山陰の地場産市場を訪ねても、梅干しは梅干し。地域的に大きな違いはないことでした。


 
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 そこで自分でも梅干しをつくってみたいと、最初に漬けたのが東京都青梅市産の青梅。なにしろ初めてのことで、素材の梅はどんなものがよいか、塩加減はどうかなど、まったく調べずに始めたのです。漬け上がったものはそれはそれは塩辛く、香りも甘みもまるでないもの。とても梅干しと呼べるものではありません。続く翌年、「今度こそは」と和歌山県産の南高梅を手に入れ、梅干しを何年も漬けている知人の指導を受けて漬けました。おかげで、ようやく塩っ辛いけれども美味しい梅干しが完成しました。
 
 梅干しには「漬け始めた人が途中でやめると災難に遭う」という話が伝えられています。この噂を信じ続けている訳ではありませんが、以来、梅干しづくりを趣味とし、よい梅を探しては各地を歩き、工夫し、とりあえず梅干しづくりには慣れました。少量ですが、毎年30kgは漬けてお中元に使っています。



 
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 そして梅干しをつくり続けるうちに副産物である梅酢の使い方にも凝りはじめ、漬物を漬けたりドレッシングや、煎酒といわれる昔ながらの調味料をつくってみたり。台湾に話梅と呼ばれる梅菓子があると聞けば、挑戦してみたり……。もちろん梅酒や梅シロップもつくり、私の梅しごとはどんどん幅が広がっていきました。

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梅が主役のメニューいろいろ
 今回のイベント「梅ごはん」は、そんな梅しごとの集大成。主役である梅干しは、8%の塩で漬けた減塩梅干しから15%の塩分濃度が高い梅干し。昆布や笹で漬けたものや、白干しとも呼ばれる塩だけで漬けた関東漬け、赤ジソを使った赤ジソ漬け、にがりを使ったカリカリ漬けも用意しました。




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 使った梅は、香りのよい和歌山県産「南高梅」と神奈川県小田原産「曽我十郎」、それにここ「古民家スタジオ・イシワタリ」の庭と鵠沼の「あとりえ梅庵」で採れた「白加賀」が中心。香り豊かで風味がよく梅干しに適した品種ですが、梅ジュースや梅サワーなどの飲み物や梅のコンポートなどのお菓子にもぴったりです。
 古民家スタジオ・イシワタリの昔懐かしい空間で梅の風味を楽しみながら、日本伝統の食の智恵・梅の底力を感じていただければ幸いです。
 
●真木 隆(まき たかし)
渓流釣りやトレッキングなどのアウトドア、田舎暮らし関係の雑誌・書籍のエディター。梅干し歴15年、味噌仕込み歴12年。保存食や調味料・薬味づくりにハマって、イチから七味唐辛子を作り、青唐辛子を育てて柚子胡椒を作り、ピクルスを漬け…。「よくできた!」と悦に入っては、うまい酒をチビチビ飲んでいる。鎌倉の谷戸に白ネコと暮らす50代。