「デザインにしても、機能にしても、完璧でないところが、逆に愛おしく思えるんです」
(キッチュ雑貨&写真担当:西澤智子さん)
ベトナム土産というと、シルクや漆、水牛のカトラリーなどがありますが、いわゆる土産店で売れらているものには興味がないんです。私が夢中になっているのは、市場などで誰も見向きもされず売れ残っている、いわゆる“B級品”。例えば、ガラス製品なら分厚くて透明度が低く、とても洗練されているとはいえないものに心が惹かれてしまうのです。それは、たぶん、自分がまだ幼かった頃の、昭和の面影を感じさせる模様やフォルムに懐かしさを感じさせるからなのかもしれません。
一口にベトナム雑貨といっても、北のハノイと南のホーチミンでは、置いているものも異なります。ハノイ雑貨のいち押しは“ホーロー製品”。ホーローというとヨーロッパのアンティーク雑貨でも人気ですが、ベトナムのホーローはそこまで洗練されてはおらず、ヘタかわいい感が魅力です。ベトナムのホーローは、ハノイ近郊のハイフォンという港町でしか製造されていません。しかも、近年はベトナム人も日常でホーローを使わなくなってきており、ゆくゆくは消えていく傾向にあります。そんな儚さも、私にはベトナム雑貨を探す原動力になっています。ですから、市場ではいつも店の棚の奥の奥まで目を向け、売れ残りの感知センサーを働かせています。
ホーチミン雑貨のいち押しは“ソンベ焼きのお皿”です。分厚くてやたらと重く使い勝手は決していいとは言えませんが、手書きの雑な絵と歪んだフォルムが手作り感いっぱいで、愛おしく感じられるのです。ベトナム雑貨の魅力は、デザインにしても、機能にしても、完璧でないところにあります。それは、便利なモノで溢れた日本に暮らしているからこそ、惹かれるのかもしれません。
蚤の市では、「へぇー、ベトナムってこんなモノがあるんだぁ~」「ベトナムっていいじゃん!」と思わせるようなモノを揃えたいと思っています。それを見て「ベトナムに行ってみたい!」と思ってもらえたら、ベトナム雑貨マニアとしては、これ以上に嬉しいことはありません。本業はカメラマンなので、もちろん写真もじっくり見ていただきたいです。今回は蚤の市の雰囲気に合わせて、ガーリーなベトナムの風景を集めてみました。雑貨も写真も“女子目線”でセレクトしてます。