10月13日(土)・14日(日)の2日間、古民家スタジオ・イシワタリで「山
優子・えほんの原画とことばのスケッチ展」を開催します。最終日の14日には、ハープ奏者の山縣麻由さんによるハープ演奏と、この企画展の主催者であるsyocaの佐藤まりさんによる絵本の読み聞かせがあります。
今回は、絵本作家の山
優子さん、ハープ奏者の山縣麻由さん、syoca の佐藤まりさんの3人に集まっていただき、企画展に対する思いを聞いてみました。
山崎優子・えほんの原画とことばのスケッチ展 と Heartful Harp ハープの調べ



「syoca」×「絵本」×「ハープ」=心地よさ


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「『syoca』を通じて出会った二人。それを結びつけたのは、イラストユーロ展でした」(佐藤


―――10月13日・14日の2日間、古民家スタジオ・イシワタリで開催される「山﨑優子・えほんの原画とことばのスケッチ展」。最終日の14日には、ハープ奏者・山縣麻由さんによるハープの演奏と、この企画の主催者である佐藤まりさんによる絵本の読み聞かせもありますが、もともと三人はお知り合いだったのでしょうか?

山﨑 いいえ、私と山縣さんはこの夏に初めてお会いしました。

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佐藤 二人とも私のお店のお客さんだったんです。syocaがオープンしたのは、2010年の冬。確か山﨑さんはオープンしてすぐにいらしてくれましたよね?
山﨑 そうでしたね。私は逗子に住んでいるのですが、鎌倉に絵本のお店ができたと聞いて、「これは行かなくちゃ!」とオープンしてすぐに行ってみました。そしたら、店の棚に並んでいる絵本の半分以上が私のお気に入りの絵本だったのでビックリ! すぐにsyocaが気に入ってしまいました。山縣さんは?
山縣 私は月に一度、ハープ演奏者の集まりで鎌倉に行くのですが、たまたまその近くにsyocaがあって、のぞいてみたのが始まりです。実は私、子どもの頃から絵本が好きで、自分の部屋に絵本を飾っていたんです。幼い頃から音楽家を目指し、同じ歳の子どものように外で思いっきり遊べなかった私は、お気に入りの絵本に囲まれた自分の部屋で過ごす時間だけが唯一リラックスできました。syocaはその部屋とちょっと似ていて、なんだかほっとする空間なんです。
佐藤 そんな二人を結びつけたのは、今年の夏にsyocaで開催した「イラストユーロ展」の時でした。その企画展では、syocaの本棚にヨーロッパの絵本だけをずらりと並べてみたんです。それを見た山﨑さんが、「至光社の絵本をずらりと並べてみたい」とおっしゃって……。
山﨑 至光社というのは、私がお世話になっている絵本専門の出版社なのですが、いわさきちひろさんやいもとようこさんの本などの名作があって、それがsyocaの本棚にずらりと並んだらすごいだろうなぁ~って思ったんです。そしたら、「至光社の絵本展をやるなら、同じ時期に山﨑さんの原画展もやりませんか?」と佐藤さんが声をかけてくださったんです。
佐藤 一方、山縣さんからは、以前、関西にお住まいの時に、絵本が並ぶお店でハープを演奏したことがあると聞いていたので、「『イラストユーロ展』の時に、よかったらsyocaで演奏をしていただけませんか?」とお願いしたら、快く引き受けてくれて……。
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山縣 あの時は、私も楽しませてもらいましたよ。佐藤さんから「自由に演奏してくださいね」と言われたので、デニムにチュニックというラフな格好で、『エーデルワイス』とか『アメージンググレース』とかみなさんに馴染みのある曲を演奏させていただきました。
佐藤 それを聞いて、「絵本とハープって、案外相性がいいかも!」とピンと来て、山﨑さんの原画と山縣さんのハープが、私の頭の中で結びついたんです。


「具体的なことは何も決めていないけれど、きっとステキになるという確信があります(笑)」(山﨑)

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―――では、三人が初めて顔合わせをしたのはいつですか?
佐藤 8月の末です。山﨑さんも山縣さんも逗子にお住まいなので、すぐに打ち解けて話をしていましたね。
山﨑 でも、おかしかったのが、私も山縣さんも佐藤さんからお声がかかって集まったのに、蓋を開けてみたら、肝心の企画展については何も決まっていなかった(笑)
山縣 そうそう。佐藤さんの頭の中にはもうすでにイメージがあって、私はそれに合わせて演奏するものだと思っていたから、ちょっと拍子抜けしちゃいました。そこで、「まずは二人にハープを演奏してみましょう」という展開になって、その場で演奏をしたんです。そしたら、山﨑さんがすごく感動してくれて……。
山﨑 そりゃそうですよ! だって目の前でプロのハープ奏者が演奏してくださるんだもの。こんな経験はそうできませんよ。で、初めて聞いたハープの音は、美しいとか神秘的とかそんな表現よりも、とにかく自分の「好きな音だな」って思ったんです。
山縣 そう、山﨑さんに「好きな音」って言われたのが、とても嬉しかった。
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山﨑 それからようやく現実的な話になって、「読み聞かせの本はどれにしようか?」ってみんなで決めたんですよね?
佐藤 そうでした。今思えば、何も決めていない状態で、お二人を呼んでいたんです……(笑)。
山﨑 だけど、その時、具体的なことは何も決まっていなかったけれど、きっとステキになるという確信は、三人とも持てた(笑)。
佐藤 それから三人で会場となる古民家スタジオ・イシワタリを訪れたのが9月半ば。企画展の内容はまだ何も決まっていなかったけれど、会場だけは「絶対ここ!」って決めていたんです。今回はできるだけ多くの方にハープを聞いてもらいたいと思っていたので、syocaではない場所を探していたのですが、店のすぐ近くにこんなステキなスタジオがあると知って「もうここしかない!」と思いましたね。
山﨑 古民家で原画展をやると聞いた時、はじめはあまりイメージができなかったのですが、イシワタリを訪れて思ったのは、イメージうんぬんよりも、「ここに置いてみたい!」という率直な気持ちでした。
山縣 私もそう。「ここで演奏したい」という気持ちが一番はじめにあって、その後にだんだんイメージがわき上がってきたんです。


「音楽も絵本も答えのない表現。だから、感じるままでいいんです」(山縣)

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―――会場が決まり、読み聞かせの本が決まり、残すはハープの曲目かと思いますが、当日に演奏する曲はもうお決まりですか?

山縣 ふふふ、実はまだ決まっていないんですよ。正確に言えば、決めていない。
山﨑 読み聞かせの絵本が決まり、山縣さんにその本を渡し、イメージを膨らませてもらおうと思っていました。先日、突然、山縣さんから「今から曲を聴きに来ない?」連絡をもらい、山縣さんの家に行ってみたんです。
山縣 前回、二人の前で演奏したのはグランドハープだったのですが、会場ではハープの大きさの問題もあってアイリッシュハープで演奏することにしました。でも、考えてみたら、二人にまだアイリッシュハープの音を聴かせていなかったな、と思い、山﨑さんとは家も近かったので、思い立って「今から来ない?」と誘ってみました。
山﨑 アイリッシュハープの音は、グランドハープよりも素朴な印象を受けました。少し乾いた感じかな? でも、これはこれで“好きな音”でした。その日、山縣さんは私のために即興で演奏をしてくれたんです。一対一でですよ! 贅沢な時間でしたね~。その時、ふと思ったのが、当日もその日のイメージで即興で演奏してもらったらどうかなと。
山縣 意外な提案でびっくりしましたよ。私は何かしら曲名のある曲を弾くんだろうな、と思っていましたから。でも、それもおもしろいかも?と思って、企画者の佐藤さんに相談なしで二人で盛り上がってしまって……(笑)。

佐藤 それでいいんですよ! 私は絵本も音楽も素人なので、ヘタに口を出さない方がいいと思っていたんです。二人が意気投合しているのを見て、こちらまで嬉しい気持ちになりましたよ。

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 今回、読み聞かせに選んだ2つの絵本は、どちらも文字が少なくて絵で感じてもらう本なんです。近ごろ、絵本といえば、「読み聞かせ」というイメージが定着していますが、実はその言葉にちょっと違和感があるんですよね。自分たちの企画展でも「読み聞かせ」という言葉を使っているのに、おかしな話ですけど……。
山﨑 わかる、わかる! 私も「読み聞かせ」という言葉には抵抗があります。そもそも絵本って、絵で感じてもらうものだと思うんです。それが「読み聞かせ」になると言葉から入ってしまうんですよね。『イラストユーロ展』の時に思ったのは、絵本は字が読めなくても楽しめるものだということ。つまり、絵本には国境なんてないんですよ。
山縣 それは音楽でも言えますね。絵本も音楽もこう描かなきゃいけないとかこう弾かなきゃいけないとか、答えがあるものではないと思うんです。表現者も鑑賞する人も感じるままでいい!

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山﨑 絵本と音楽は表現の仕方が違うだけで、その根底にあるものはつながっていると思うんです。
山縣 当日は山﨑さんの絵本と佐藤さんの語り、会場にいるお客さまの表情や古民家の空間、その日のお天気など、その時に感じたすべてをハープの音で表現したいと思います。
佐藤 わぁ~、どんな曲が聴けるか楽しみです。でも、その場で曲を考えるなんて緊張しませんか?
山縣 前日まではするでしょうね。でも、その時になったら緊張を乗り越えて楽しんで弾けると思いますよ。
山﨑 当日が楽しみですね!

聞き手/石渡 真由美 写真/福井 隆也


【プロフィール】
●佐藤 まり syocaオーナー
母になり、子どもに読み聞かせをしているうちに、絵本の魅力を再発見。好きが高じて2010年、絵本と絵本にまつわる家具をテーマにした店「syoca」を鎌倉にオープン。絵本と家具の販売に加え、「サッカーと旅の絵本」「北欧作家の絵本」「ヨーロッパの絵本」など、テーマにそった絵本のイベントも企画。今回は「絵本の原画」×「ハープ」という新たなコラボレーション企画に挑戦。
syoca http://www.syoca.jp

●山﨑 優子 絵本作家
大学は法学部を卒業しているが、絵を描くのが好きで絵本作家を目指す。途中、3人の子どもが生まれ、絵を描く生活から遠ざかっていた時期もあったが、子育てが一段落したのを機に、再び、絵を描き始め、38歳のときに「ぎんぎらなつのあついひは」(至光社)でデビュー。
以来、「るすばんいす」「ぽってん あおむし まよなかに」など多数の絵本を至光社から出版。原画展は今回で2回目。
絵本横丁 http://ehon-yokocho.com/

●山縣 麻由 ハープ奏者
4歳からピアノを始め、10歳からハープを始める。神戸女学院大学音楽部音楽学科ハープ専攻を卒業。摩寿意英子、ヨセフ・モルナール、雨田光示・幸子の各氏に師事。結婚後、逗子に移り住み、逗子ハープサロンを主催。ハープ教室、ハープ伴奏による唱歌教室、ヒーリングヨガ、リラックスコンサートなど、さまざまな演奏活動を行っている。
逗子ハープサロン http://zushi-harpsalon.net/