白ねこ亭/野のごはん
●スケジュール
4月19日(土)
昼の部 12時~16時
4月20日(日)
昼の部 12時~16時のみ
●料理に使う山菜あれこれ
ウド・オオバギボウシ・オカヒジキ・カンゾウ・
キヨタキシダ(アブラコゴミ)・クサソテツ(コゴミ)・
コシアブラ・コゴミ・セリ・ゼンマイ・ツリガネニンジン・
ツルナ・ノビル・ハマダイコン・フキ・フキノトウ・
モミジガサ・ミツバ・ユキノシタ・ヨモギ・ワラビなどなど。
※おもに新潟・魚沼産。一部、鎌倉のものも使います。
種類は入荷状況で変わります。
●お昼のお献立
・野のごはんプレート…1300円(ごはんお代わり200円)
(山菜5点盛・山椒つくね・タケノコごはん・お吸い物・お漬け物・おひたし)
・一品料理…500円
(当日のお楽しみ)
・よもぎ白玉とお番茶…500円
・話梅と中国茶…500円
・冷たい梅ドリンク(梅シロップ・シソジュース・梅サワーのいずれか)…400円
・温かいお茶(梅醤番茶・中国茶)…400円
・缶ビール…500円
・金宮焼酎(ロックまたは水割り)…500円
・梅酒…500円
白ねこ亭の春
野のごはんの2日間
●日本人と山菜
”かてもの”という言葉を知っていますか。「主食に混ぜて炊くもの」を指しますが、「飢饉などの非常食」という意味もあります。穀物と混ぜて主食にしたり救荒食料のこと。現代では”山菜”を指すと言っていいかもしれません。
これをまとめたのが江戸時代末期に著された『はじめに紹介した』。米沢藩の藩主・上杉鷹山の命で編さんされた山菜事典です。
当時の米沢藩は天明の大飢饉を乗り切ったものの、米倉は底をつき、財政は崩壊寸前。その危機を乗り越え凶作から藩を守るため、鷹山は平時から米を備蓄をすすめ、代用食として山菜などの有効利用を奨励しました。おかげで、その後に起きた天保の大飢饉でも餓死者を出すことなく、この政策は幕末まで続けられたといいます。
『かてもの』に収録された山菜は約80種類。それぞれの特徴や料理法を解説していますが、素晴らしいのは安全な食材だけを紹介していること。飢饉のなかでは餓死よりも、有毒な山野草による中毒死が多かったため、侍医を中心に安全な動植物の研究が行われたといいます。その成果である『かてもの』は山菜の解説書として、現代でも十二分に通用する価値があります。
米沢市を歩くと、今でもウコギという低木を生け垣にしている家を見かけます。ウコギはタラノメと同じ仲間で、栄養豊富でおいしく、和え物やウコギ飯などとして食されました。もちろんウコギの生け垣は、鷹山の智恵の賜です。
飢饉の際に我々を救ってくれた山菜は、同時に春を感じさせるもの。季節感を大切にする日本料理には欠かせない食材です。
●野のごはん
春の白ねこ亭の主役は、この”かてもの”。春を告げる山菜です。
最近はスーパーでもコゴミやウルイが並ぶようになりましたが多くは栽培品で、自然に生えているものとは味も香りも異なります。そこで、なるべく自然から採集したものを使い、新鮮なうちに召し上がっていただこうと考えました。
以前、取材・執筆に携わった『山菜事典』には231種の掲載した山菜(食草)を掲載したのですが、驚いたことに、鎌倉だけで70種を超える山野草が自生していました。里山ばかりでなく浜辺にも、山間部には見当たらないおいしい野草があることは発見でした。今回はその中からも、採集による影響が大きくないものを選び、味わっていただこうと思っています。
現代の"かてもの"は救荒食ではなく、独特の苦みや香りを楽しむご馳走。その風味を楽しんでいただけるよう、さまざまな種類を少しずつ用意しました。自家製のタレや調味料で召し上がってください。
春爛漫の2日間、鎌倉らしい古民家で食べる「野のごはん」をお楽しみに!