古民家で楽しむ日本ワインと日本のチーズ
仕事で少しでも役に立てたら……とはじめてみたチーズの勉強。チーズは知れば知るほど奥深く、そんなチーズの魅力をたくさんの人に伝えたくなったと話す、チーズプロフェッショナルの柴本幹也さん。今回は、古民家を会場に、made in Japanにこだわったチーズの楽しみ方を提案します。
「接客のプラスに」と考えて、はじめてみたチーズの勉強。
輸入品を多く扱っているスーパーで、グロッサリーと酒部門を担当しています。よく売り場でお客様からワインについてご質問をされることがあり、自分の接客のプラスなればと、仕事をしながらワインアドバイザーの資格を取りました。
ワインについて詳しくなると、今後はチーズについても勉強したいと思うようになり、チーズプロフェッショナル協会(C.P.A.)の呼称資格を取得するために、チーズスクールへ通うことにしました。実はそれまで、チーズは好きなだけで、詳しい知識はありませんでした。スクールではチーズの歴史から、製法、食べ方に至るまで、さまざまなことを学びました。大人になってからの学びは、好きなものと結びついているぶん、のめり込みます。気がつくと、すっかりチーズの虜になっていました。
手法によってさまざまな味に変化するチーズ。その奥の深さが魅力。
ひとくちにチーズといっても、その種類は無限にあり、たとえばチーズの産地であるフランスでは、ひとつの村にひとつのチーズが存在するといったように、その土地に根付いたチーズがあります。また、同じ牛から作るチーズでも、作り方や熟成期間によって、まったく違ったものになるのが、チーズのおもしろさ。その手法を知れば知るほど、チーズに夢中になりました。
また、チーズはよくワインと合わせていただきますが、実はどんな飲み物にも合うのです。たとえば、コーヒーならスペイン産のサン・シモン・デ・コスタなどがおすすめ。スモークの香ばしい香りと濃厚なミルクの甘みが、キャラメルのような味わいとなり、キャラメルラテを飲むような感覚でコーヒーと楽しむことができます。
このようなチーズの魅力をもっといろいろな人に伝えていきたい……。チーズプロフェッショナル(C.P.A認定)に合格した後の私は、職場で限られたお客様に伝えるだけではなく、チーズの魅力を全国に伝える伝道師として活動していきたいと思うようになりました。
「コムラード・オブ・チーズ」でチーズ好きの仲間を増やしたい。
古民家スタジオ・イシワタリに出会ったのは、昨年のゴールデンウィーク。「ベトナムのかわいい蚤の市」というイベントを開催していたときに、訪れたのがきっかけです。さまざまな飲み物や料理とマッチするチーズは、洋空間もいいけれど、古民家にもマッチするかもしれない……。そんな思いを10カ月の間、温め続けていました。
チーズプロフェッショナル協会では、チーズのプロを認定するチーズプロフェッショナルのほかに、チーズの魅力を広めることを目的とした「コムラード・オブ・チーズ」という活動をしています。「コムラード・オブ・チーズ」とは、フランス語で“チーズの仲間”という意味。チーズプロフェッショナルの合格者が「コムラード・オブ・チーズ」の講師となり、自分が暮らす地域や思い入れのある場所で、その地域の方々にチーズの魅力を伝えるために、さまざまなイベントを行います。今、私は家族と共に神奈川県藤沢市に暮らしており、湘南を中心としたチーズ好きのコミュニティーを作り上げることを目標に活動をしています。イベントの参加者はこのエリアにお住まいでなくても、もちろんOK。チーズビギナーから自称チーズ通の方まで、“チーズを楽しむ”ことを目的に参加していただければと思っています。
今回は鎌倉にある築85年の古民家で開催するにあたり、made in Japanにこだわって、「日本のチーズとワインを楽しむ会」を企画しました。日本のチーズってあまり聞かないけれど……? とおっしゃる方も多いかと思いますが、実は日本にもチーズづくりに情熱をかける酪農家の方々が少なからずいらっしゃいます。日本のチーズは、ヨーロッパなどのように、その土地の風土や文化に根付いたものではなく、海外の手法を模倣して作ったものですが、とても丁寧に作られています。そんな酪農家の方々を応援しながら、将来的には、日本独自のチーズ文化を発展させていくのが私の夢です。
【プロフィール】
柴本 幹也(しばもと みきや)
長野県生まれ
2010年 C.P.A.チーズプロフェッショナル認定
2011年 第5回チーズ検定より検定講師、コムラード・オブ・チーズ湘南主宰
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー、日本テキーラ協会公認テキーラソムリエ
スーパーマーケット成城石井六本木ヒルズ店勤務
一番お気に入りは、フランスのロックフォール村でつくる青カビチーズ「ロックフォール」